人類の未来を救う、人工冬眠技術の幕開け

研究対象はマウスおよびラット
これらは本来、冬眠する習性のない動物ですが、脳の視床下部にあるQ神経と名付けられた特殊な神経細胞群を刺激することで、人工的に冬眠に近い状態（QIH）に誘導できることがわかりした。
『もともと神経ペプチドという伝達物質の中で新しいものを探索していました。ある神経ペプチドに注目し、それを発現している神経細胞がQ神経だった。いじっているうちに冬眠に近い状態になるということがわかったんです。』という話です。
遺伝子を改変したマウスやラットのQ神経を、薬物を使って刺激すると約30分後にQIHとなり、体温が下がって2日間ほど動かなくなります。
其の後1週間程度かけて元の状態に回復する。
光りを使った刺激では刺激し続けている間はQIHの状態が続き、1時間以内でもとに戻るそうです。
『冬眠というと特殊な動物種が獲得した際立った能力のように思われますが、そんなことはありません。
おそらく全ての哺乳類は冬眠する能力をり持っているはずです。それを、使うのが有利かどうかが能力を発揮するしないの分かれ目。ヒトでも原人の時代は冬眠している種があったという説が有力視されていまふ。かつて六甲山で遭難した人が3週間飲まず食わずで救出されたことがありました。その時の体温は22度くらいでその後、普通に回復しています。これは冬眠のよつな低代謝の状態で乗り切ったとしか思えません』
と、櫻井教授談

となると、遠い将来、SFのように宇宙船の冬眠カプセルの中で目覚めるという可能性はゼロではないということ。
一方、近い将来でいうと、QIHがもたらすだろう恩恵は救命率の底上げだといいます。
例えば心筋梗塞で心臓の機能が、低下したり交通事故で大出血を起こした時などです。
『そうしたとき、全身に酸素を届けられないと脳など酸素をたくさん必要とする組織がダメになってて死に至ります。でもQIHの状態では心機能は節約モードで通常の5分の1くらいに落ちるので酸素需要も少なくてすむ。原理的には救命できます。
今の医療では供給の方を何とかしようとしていますが需要の方を落とすということです。』
人に応用するためにはいくつものハードルがありますが、それが現実できれば救命救急の常識が覆される。

『QIH明けのマウスは妙に元気がいいというこれは妄想ですがパソコンが再起動するようにカラダや脳に何かいいことが起こっているのかもしれません』とのこと。
やっぱり何においてもしっかりと睡眠が取れるカラダ作りをして毎日健康に過ごしたいものですね。